エンジニアとして案件に参画するうえで避けて通れないのが、「クライアントとの面談」
です。
多くの場合、技術スキルはレジュメを見ればおおよそ判断がつきます。
では、なぜ面談が必要なのでしょうか?
その理由はシンプルで、「一緒に仕事ができるかどうか」 を人間として確かめたいからです。
というわけで本記事では、これまでの記事とは少し毛色を変え、
「よく聞かれる質問」と「反応が良くなる回答例」を4つに絞ってご紹介します。
目次
●面談の本質は「技術力+α」の確認 ● 技術スキルだけで勝負はできない? 【質問①】:「これまでの経歴を教えてください」 ・よくあるNGパターン ・好印象な答え方 ポイントまとめ 【質問②】:「このプロジェクトで、どんな貢献ができますか?」 ・よくある惜しい答え ・提案しやすい答え方の型 高評価になるポイント 【質問③】:「チーム開発やコミュニケーションはどうしていますか?」 ・ありがちな失点パターン ・良い回答例 “高評価になる人”の特徴 【質問④】:「課題やトラブルに直面したとき、どう対処しましたか?」 ・一般的な回答の例(やや物足りない) ・効果的な答え方の例 “推せる人”とは? ●面談で“印象に残る”人が意識していること 1. 会話の“流れ”を作れる人 2. 自分の強みを“相手の言葉”で語れる人 3. その場で“誠実な判断”ができる人 【まとめ】:面談は「営業戦略」。答え方ひとつで未来が変わるクライアントは面談で以下のようなポイントを確認しています。
スキルの裏付けとなる実績や考え方
現場での動き方、対応力、人柄
チームにどうフィットしそうか
トラブル時の対処やマインドセット
実務経験に基づく“語り口”やリアルさ
つまり、“現場でちゃんと機能してくれるか”を見極める場 なんです。
もちろん技術スキルが十分あることは大切ですが、自分の会社の社員ではない、外部の人間を面談するにあたって「自己管理ができるか」「能動的に動けるか」「コミュニケーションは円滑か」など、ヒューマンスキルの比重が高まっています。
“面談に強い人”=案件が決まりやすい人
であることは間違いありません。
これは、ほぼ100%聞かれる質問です。
しかし侮ってはいけません。ここで印象が決まり、残りの面談が“流れ作業”になるか、“対話”になるかが決まる
からです。
「〇〇社で5年間Javaの開発をやっていました。その後、△△社で・・・」
ただの年表や履歴書の読み上げ。
これではクライアントは“自分たちとの接点”を見つけづらい
のです。
「Webサービスの開発を中心にバックエンドを7年経験しています。特に〇〇(技術)を用いた△△(課題)への対応を得意としており、直近では□□という規模のPJで▲▲をリードしました。」
「経験」ではなく、「貢献」や「得意領域」を主語に して語ることで、“この人に頼みたい理由”が自然と見えてくる構成 になります。
「何年やってきたか」より「何ができるか」 を中心に
クライアントに関係のある話題を前半に持ってくる
フレームワーク名、チーム規模、開発フェーズなど具体性を添えると説得力UP
この質問は、シンプルなようで実は面談の核心とも言える問いです。
なぜなら、クライアントは「あなたが現場に入ったとき、どのように価値を発揮してくれるのか」
を最も知りたがっているからです。
この問いに対する答え方次第で、面談の空気はポジティブにもネガティブにも傾きます。
「与えられたタスクをしっかりこなします」
このような答えは、責任感や真面目さは伝わりますが、積極性や“能動的に動ける人”という印象は残しづらいです。
現場では「指示待ちでなく、自分から動けるか」が重要視されるため、この点は強調したいポイントです。
「これまでの経験×今回のPJに活かせる点」を掛け合わせて構成すると説得力が生まれます。
例えば次のような流れです。
「これまで〇〇のシステム開発に複数携わってきましたが、その中でも□□の最適化や保守性を重視した設計を得意としています。今回のPJでも、バックエンドの安定性や運用性の観点から、開発だけでなく技術選定や設計面でも貢献できると考えています。」
重要なのは、「自分のスキルとクライアントのニーズがどうマッチするのか」 を言語化できているかどうかです。
「今までのPJと今回の共通点」から話を始める
“開発すること”だけでなく、“PJ全体への関与”まで視野に入れる
プラスαの視点(運用・チームビルド・非機能要件など)を盛り込む
技術スキルが高くても、チームでうまく機能しない人は案件ミスマッチになることがあります。
そのため、この質問では「この人は自律して動けるか」「関係構築ができるか」を見られています。
「リモートでも問題なくやってます」「普通にSlackでやり取りしてます」
これは一見問題ないように思えますが、抽象的すぎて具体性に欠け、どんな人かが伝わりません。
現場の雰囲気や文化に馴染めるかどうかは、案外この質問の答え方で判断されるケースもあります。
「基本的にSlackとNotionでの非同期コミュニケーションが中心ですが、朝会や1on1では積極的に進捗や課題を共有しています。タスクの進め方やレビューについても、相手のスタイルに合わせて調整する意識を持っています。」
このように「自分がどう動くか」に加えて、「相手にどう配慮するか」まで言及できると、チーム開発への適応力が伝わります。
他者視点 を持っている
トラブルや認識ズレを事前に防ごうとする姿勢がある
実際に使っているツール名や開発スタイルを具体的に挙げている
この質問は、「技術力」ではなく「人間力」
と「現場力」
を見られています。
特に、「責任をもってやりきれるか」「適切に報連相できるか」といった姿勢が強く求められます。
「問題があったときは、すぐに上司に相談して解決するようにしていました」
間違ってはいませんが、クライアントからすると「どう考え、どう動いたのか」という具体的なエピソードがほしいところです。
なぜなら、トラブル対処のプロセスにはその人の思考力・行動力・チームワーク力がにじみ出る
から です。
「APIの仕様変更により、フロント側でエラーが頻発した際、まずログの確認と再現手順を整理しました。そのうえで、仕様変更の経緯を確認し、Slack上で影響範囲と改修方針を共有しました。最終的には、レビューとデプロイまでのフローを見直すことで、同様のトラブルを防止する体制を整えました。」
このように、課題の発見 → 状況整理 → 関係者との連携 → 再発防止までの流れを提示できると、「この人なら安心して任せられる」という印象を与えやすくなります。
トラブル時に冷静に状況を整理・共有できる
独りよがりにならず、周囲との連携を重視している
技術的な視点と、運用・チーム視点をバランスよく持っている
ここまで、具体的な質問とその回答例を紹介してきました。
多くのエンジニアと面談をしているクライアントの印象に残ることが、案件参画への道筋ですが、その中で言えるのは「印象に残る人」には共通点がある
ということです。
では、それはどんな人でしょうか?
クライアントが質問 → フリーランスが回答、という一問一答形式で進む面談では、どうしても形式的になりがちです。
しかし印象に残る人は、回答の中で相手に話を返す/広げる工夫
をしています。
たとえば:
「〜という経験があります。御社では同じような技術を使われているでしょうか?」
「前職ではこういう構成でしたが、今回のPJだとどのような設計思想で進められていますか?」
このようなやり取りがあると、面談は“対話”になり、「この人とは一緒に働きやすそう」という印象につながります。
これはエンジニアだけでなく営業職などでも最も重要なスキルのひとつです。
自分の強みをただ並べるのではなく、相手のニーズに置き換えて語れるかどうか
がポイントです。
「高速な開発に強い」→「短納期のプロジェクトでも品質を担保したまま対応できます」
「コミュニケーションが得意」→「リモートでも認識ズレが起きないよう意識して動いています」
クライアントは常に「それがうちにどう関係あるのか?」を考えています。だからこそ、自分視点ではなく、クライアント視点で話せる人 が信頼を得やすいのです。
質問に対して「わからないことはわからない」「やったことがないことは、正直にそう言う」。一見マイナスのように見えるかもしれませんが、これは決して悪いことではありません。
むしろ、わからないことを無理に装わない誠実さ
や、「それについてはキャッチアップして対応します」という姿勢が伝われば、評価されるケースがほとんどです。
むしろ無理なアピールをして後々ミスマッチになる方がリスクが高いため、正直であること、そしてそのうえで「じゃあ何ができるか」を語れる人が最も強いのです。
エンジニアが案件に参画するうえで、技術力は当然として「面談力」が問われる場面は増えています。なぜなら、多くのプロジェクトがチーム型で進行し、“一緒に働きやすいか”がプロジェクト成功の鍵 となるからです。
今回ご紹介した質問は、いずれもよく出るものばかりです。
そして、その回答には「正解」はありません。大切なのは、自分自身の経験をクライアントに伝わる形で表現すること
です。
この記事で紹介したポイントをふまえて、今後の面談に向けて意識したいことは以下の3つです:
自分の経験を「貢献」に変換して語る
クライアントとの接点を意識して話す
一問一答で終わらず、“対話”を生む流れを作る
やはり最終的に「一緒に働きたい」と思われるのは、“人としての安心感”を持たれている方です。
それは特別なスキルではなく、少しの伝え方の工夫や姿勢
によって築かれていきます。
自分の価値をしっかり伝え、良いスタートを切っていただければ幸いです。
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